娘はずっと、学校に行けない時期が続いていました。それが、引越しのトラブルで生まれた「偶然の一ヶ月」をきっかけに、大きく変わることになりました。
信じてもらえないかもしれませんが、本当の話です。
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娘の不登校のこと
娘はずっと、学校に行くことができない時期が続いていました。自営業のシングルマザーとして、私なりにいろいろ考えてきましたが、無理やり行かせることだけはしたくなかった。娘の心の安心が一番だと思っていましたから。
二人でのんびりのんびり、自分たちのペースで過ごしていました。大変なこともありましたが、毎日どこかに楽しいことはあって、しんどさよりも充実感の方が上回っていたような気がします。「これはこれで、私たちの暮らし方なんだ」と思いながら。
ただ、心のどこかでずっと思っていたのも事実です。娘が楽しく通える学校が、どこかにあればいいのにな、と。
引越しのトラブルと、偶然の一ヶ月
都内で引越しをすることになったとき、手続き上のトラブルで新居への入居が一ヶ月ほど遅れることになりました。その空白の一ヶ月、私の実家に二人で身を寄せることにしました。
実家は田舎にあります。私が高校卒業まで育った場所です。二十年以上東京で暮らしてきた私にとって、実家に長く滞在するのは久しぶりのことでした。
「一ヶ月だけ。すぐ戻る。」そのつもりでした。
母校を訪ねてみた——「行けなくてもいいか」くらいの気持ちで
実家の近くに、私が子どもの頃通っていた小学校があります。せっかくだからと、娘を連れて訪ねてみることにしました。
正直に言うと、あまり期待していませんでした。「どうせ行けないだろう、行けなくてもしかたない」というくらいの、気楽な気持ちで。娘も不登校ですし、それはもうずっとそういうものだと思っていましたから。
ところが。
まるで別人のように
娘がその学校に通い始めたところ、まるで別人のように楽しそうに登校するようになりました。
毎朝、自分から準備をする。帰ってきたら学校の話をする。疲れた顔をしていない。——それだけで、私はじんわりと胸が熱くなりました。ずっと学校に行けなかった娘が、です。
先生もお友達も、学校全体の雰囲気も、娘に合っていたのだと思います。自分が子どものころに通っていたときには気づかなかった、その学校のよさを、娘を通して初めて知りました。
住民票のある学区と異なる学校に通う「区域外就学(越境入学)」の手続きについては、こちらの記事にまとめています。
でも、あと一年で廃校が決まっていた
喜びもつかの間、その学校はあと一年で廃校になることが決まっていました。近隣の学校と統合されるのだそうです。
一年後、娘はまた学校に行けなくなるかもしれない。そう思うと、複雑な気持ちでした。
私自身も、実家の近くにはあまり良くない記憶があって、正直なところ、長くいたい場所とは言えませんでした。心理的な距離をとりたいという気持ちもありました。だから最初は「一年だけ。廃校になったら東京に戻ろう」と思っていました。フリースクールなど別の選択肢を探しながら。
娘が「行かない」と言っていた、次の学校
廃校後に娘が通うことになる統合先の学校について、娘に聞いてみたことがあります。そしたら「そこには行かない」と、きっぱり言いました。娘は自分がこうだと思ったことは曲げないタイプです。一度「嫌だ」と思ったことに、無理して気持ちを押し込んでまで通おうとはしない子です。
それはそれで、娘の性格ですから、仕方がないと思っていました。東京に戻る計画を、頭の中で少しずつ考えはじめていました。
二月、三月——気持ちが変わった
廃校が近づいてきた二月、三月のことです。娘の気持ちが、急に変わりました。
理由は、よくわかりません。先生との関係が特別に良かったのか、お友達との別れが惜しくなったのか、それとも学校全体の温かい雰囲気がじんわりと娘の心に届いたのか。
ただ、「次の学校に行く」という娘の言葉が、それまでの「行かない」から変わっていたのは確かです。
私は驚きながらも、どこかほっとしていました。
田舎暮らしを続けることを決めた
娘が次の学校へ行くと決めたことで、田舎でのの暮らしをそのまま続けることになりました。
自分が望んでいた選択かと聞かれると、正直すぐにそうとは言えませんでした。でも不思議なことに、この流れをたどってみると、どこかで「これでよかった」という感覚があります。娘が楽しく学校に通えている。それだけで、十分すぎるほどです。
今は、田舎での暮らしを、ちゃんと自分のものにしていこうと思っています。仕事のやり方も変えながら、少しずつ。
まとめ:偶然の一ヶ月が教えてくれたこと
引越しのトラブルで生まれた「偶然の一ヶ月」が、娘の学校を変え、私たちの暮らしの方向を変えました。
「行けなくてもいいか」と思って訪ねた学校で、娘が輝いた。廃校まで一年しかなかったけれど、その一年が娘の何かを変えた。計画していなかったことが、思いがけない形で力になることがある——そういうことを、この一ヶ月は教えてくれました。
この話の続き、もなかとの出会いについてはこちらの記事をどうぞ。実は同じ「偶然の一ヶ月」に、もう一つの大切な出会いがありました。